
このアルバムはメロトロンの使用などで古くから知られてきた一枚だが、全体的な内容に関しては随分誤解されているような気がする。確かにB-1,B-2などで聴くことのできるメロトロンは旧東ドイツロックの作品の中で一番生々しい良い音を奏でてはいるが、おおよその曲は1970年代後期らしい西側ロックグループの影響を受けたキャッチーなサビをもつ洗練されたロックを表現しており、その何曲かで心地よいフルートと美しいメロトロンを使用した、いわばプログレッシヴロック(強いて言えばB-1なんかはジェネシス風か。)が織り交ぜられたアルバムと言ったほうが良さそうだ。そしてその両者のバランスがとても良く取れているのがこのアルバムを名盤と言わしめた由縁ではなかろうか。おすすめはA-3、B-1、そしてラストのB-4。

いきなりハープを使用したりと面食らう場面もあるが基本的には前作の延長線上にあるセカンドアルバム。捨て曲が無く、アルバム構成のバランスも非常に良くとても聴き易い内容となっている。前作である意味このグループの作品のアクセントとなっていたメロトロンは残念ながら生ストリングスやシンセサイザーに取って代わられており、独特な雰囲気を演出していたフルートの使用も減退してしまっている。かといってプログレッシヴロックとして魅力が無くなってしまっているのかというと全くそうでなく、A-4ではブラス、オルガン、シンセサイザーを駆使した名曲で劇的なヘヴィシンフォニックを披露している。15分を越えるプログレッシヴ大曲のB-1のデキも素晴らしい。